ビタミンのお話~ビタミンD編~免疫力を上げるビタミンD?
こんにちは。医療者です。
今回は、ビタミンの話をします。その中でも「ビタミンD」に注目して、お話したいと思います。
ビタミンDは骨を丈夫にしたり、免疫力をアップするなどの効果があります。
新型コロナウィルスにも有効では?という話もあります。
そのあたりにも触れていきますので、最後までお読み頂けたらと思います。
ビタミンDについて
ビタミンDとは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつです。よく聞くビタミンCは水溶性のビタミンです。
働きとしては、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きと、それによって血液中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨をつくります。
また、免疫機能を調整する働きもあります。
最近では、がんや糖尿病、自閉症や不妊症にも有効ではと多くの研究が発表されています(まだ研究段階中です)。
ビタミンDの摂取方法ですが、食べ物からとると、紫外線を浴びることで生成するの2パターンです。紫外線から生成する方がメインとなっています。
食べ物だと、魚介類、卵類、キノコ類などです(鮭に多く含まれています)。
紫外線であると、人の皮膚にあるプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)が紫外線にあたることによって生成した、プレビタミンD3(プレカルシフェロール)からも生成されます。
しかし、紫外線はシミや日焼けの原因であり、近年美白やがん対策として、かなり良い日焼け止めが販売されています。
また、日よけ傘を積極的に使われることも増えました(ビタミンD濃度は年々低下しています)。
それにより、ビタミンDが不足している方が多いです。
不足することにより、低カルシウム血症による骨軟骨症や、骨粗鬆症、小児ではくる病(骨の成長障害)になります。
ですが、日焼けしたくない!ですよね。
その時は、手のひらで日光浴することをオススメします。手のひらでも十分ビタミンDは作られます。また、手のひらにはシミの原因であるメラニンが作られないので、シミができません。
「手~のひらを~たいように~」は、ビタミンDを作る歌です(冗談です)。
男性 | 女性 | |||
目安量 (μg/日) |
耐容上限量 (μg/日) |
目安量 (μg/日) |
耐容上限量 (μg/日) |
|
0~5(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
6~11(月) | 5.0 | 25 | 5.0 | 25 |
1~2(歳) | 3.0 | 20 | 3.5 | 20 |
3~5(歳) | 3.5 | 30 | 4.0 | 30 |
6~7(歳) | 4.5 | 30 | 5.0 | 30 |
8~9(歳) | 5.0 | 40 | 6.0 | 40 |
10~11(歳) | 6.5 | 60 | 8.0 | 60 |
12~14(歳) | 8.0 | 80 | 9.5 | 80 |
15~17(歳) | 9.0 | 90 | 8.5 | 90 |
18~29(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
30~49(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
50~64(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
65~74(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
75以上(歳) | 8.5 | 100 | 8.5 | 100 |
妊婦 | 8.5 | – | ||
授乳婦 | 8.5 | – |
※日本人の食事摂取基準(2020年版)を参照
耐容上限量とは、上限摂取量です。
目安量とかなり幅がありますので、多めに摂っても問題ないです。
食事管理が難しい場合は、サプリメントでの摂取も推奨されています。
ちなみに、アメリカでは、ビタミンDの推奨量を増加しました。
日光浴に関しては、15~20分くらいが目安です。
食事だけでは過剰摂取になることは、ほぼありませんが、サプリメントの量を間違えて過剰摂取になることは気をつけてください。
過剰摂取により、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化などの危険があります。
まぁ何事もほどほどにということで、ビタミンDについてはこれくらいです。
次章では、免疫力についてお話します。
2.ビタミンD摂取で、免疫力アップ!?
ビタミンDは、免疫機能の調整から、抗ウィルス作用、抗炎症作用に良いという報告が数多くされています。
日常の風邪予防から、インフルエンザ予防にも有効とされています。
また耳にタコができるほど聞いている、「新型コロナウィルス」の感染予防や重症化予防の働きも期待されています。
ここでは、その報告をいくつか紹介したいと思います。
ビタミン不足は呼吸器感染症のリスクが上昇すると言われています。
それは、ウィルス性呼吸器感染症に対する自然免疫系の維持に必須だからです。
これはインフルエンザの実験ですが、国内にある東京慈恵会医科大学での報告として、ビタミンDのサプリメントを投与することにより、インフルエンザ(A型)の発症リスクを42%減少させました。
海外でも、インフルエンザ症状からの早期回復、ウィルス量の減少などが示されました。
また、ウィルス性呼吸器感染リスクが19%有意に減少したとのことです。
新型コロナウィルスに関しては、欧州20カ国において、ビタミンD値と、新型コロナウィルスとの関連を調べた研究があります。
血中のビタミンD値が低いと、新型コロナウィルスの罹患・死亡率が高い、という相関が見出されました。
特に、スペインやイタリア、スイスでは、高齢者においてビタミンD低値が顕著だったとのことです。
米国では、ビタミンD欠乏が認められた新型コロナウィルス患者に、高用量のビタミンDを投与したところ、ビタミンD値の正常化、入院期間の短縮、必要酸素量の減少、炎症の改善といった臨床的な治療効果が報告されています。
英国からの報告では、新型コロナウィルス感染リスクについて、顕著な人種差が見出されています。
具体的には、白人に比べて、黒人では感染リスクが5.32倍、南アジア人では2.65倍であったとのこと。
そして別の研究では、白人に比べて黒人やアジア人は、ビタミンDレベルが低いことが知られています(黒人は日光でビタミンDを生成できない)。
英国での別の研究によると、ビタミンD不足では、新型コロナウィルスの重症化リスクが高いことが示されました。
また、新型コロナウィルスの予後不良群では、ビタミンDが低いと結果となっています。
具体的には、1,368人の新型コロナウイルス感染症患者を対象に解析が行われた結果、ビタミンD値は、予後良好の患者(669人)に比べて、予後不良の患者(634人)で低値でした。
これらのデータから、英国のNHS(国民保健サービス)では、新型コロナウィルスに関する啓発の中で、「外出抑制に伴う皮膚でのビタミンD合成低下に対する対策として、ビタミンDサプリメントの利用も考慮すべき」としています。
しかし、ビタミンDが新型コロナウィルスの予防効果は無い!とする報告があるのも事実です。
実際に報告されている論文の中には、信ぴょう性が疑われているものもあります。
つまり、まだ多くの研究者が研究中の情報であり、絶対とは言えない。これが本音です。
ですが、ビタミンDは生きていく上で必要不可欠なビタミンであることには間違いありません。
予防云々は置いておいて、そもそもビタミンDを摂取するなという報告はありません(あったら教えてください)。
3.終わりに
いかかでしたでしょうか?
まだ、ビタミンDが新型コロナウィルスの予防に有効であるとは言えませんが、効果があるかも!とされる報告は数多く上がっています。
しかし、私は今後ビタミンD不足の方がかなり増えるのではないかと考えています。
それは、新型コロナウィルス対策のために国が掲げている「ステイホーム」です。
家にいることにより、日光を浴びる機会が減り、ビタミンD不足の方が増えます。
最近の窓は紫外線カットの窓が多いので、家の中で窓越しに日光欲しても意味がないです。
またビタミンD不足により、高齢者の骨粗鬆症患者が増えるのではと懸念しています。
ビタミンD摂取による、新型コロナウィルスの予防効果は、まだはっきり認められてはいません。
ですが、摂取して感染リスクが上がったり、重症化しやすい報告はありません。
摂取して損は無し。というところです。
また、ビタミンDには感染予防以外にも様々な効果があり、体には必要なビタミンであることには間違いありません。
ですので、私はビタミンDの摂取を是非オススメします。
なので、基本的な免疫力アップ(睡眠、食事、運動)に加えて(結局これが一番大切)、ビタミンDの存在も、明日から意識して生活してみましょう。
ビタミンDについて(グリコ)
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